愛知県支部 スキルアップ研修会
NPO法人 愛知県防災士会スキルアップ研修会
― 名古屋地方気象台専門官による特別講話 ―
― 名古屋地方気象台専門官による特別講話 ―
日 時:平成31年2月19日(火) 午後1時30分~午後4時
会 場:NPO法人愛知県防災士会 東特会館4階 会議室
内 容:名古屋地方気象台より専門官2名を講師としてお招きし、気象・地震・
津波等のメカニズムと災害時につながる防災・減災についてのご指導を
いただきました。
参 加 者:NPO法人 愛知県防災士会会員 21名
1.「防災気象の基礎知識」
講 師 名古屋地方気象台 観測予報グループ調査官 遠山 忠昭 氏

遠山調査官から「防災気象の基礎知識」の資料に添ってパワーポイントと併せ詳細に説明を頂きました。
様々な気象現象の内、「雨のことを学ぼう」では、積乱雲が発生する主な条件を説明され、「雲の誕生」と「雨の発生」、その事に伴い「にわか雨」、「局地的大雨」、「集中豪雨」のメカニズム的なこと、さらには、「雨の強さと降り方」では、1時間の雨量が増すに連れて人の受けるイメージは変わり、危険度が高まる表を見ながら感覚を研ぎ澄ませなければ防災・減災につながらないという認識を持つことができました。
特に愛知県は、1959年9月26日に伊勢湾台風がもたらした甚大な被害から60年目を迎える節目の年でもあり、当然、台風の進路に関心を持ち注意が必要とのことでした。
また、平成20年8月の岡崎豪雨の実例を挙げ、積乱雲の発生と発達を繰り
返した災害について判りやすく説明していただきました。
次に、「台風のことを学ぼう 暴風と高潮」では、平成19年7月の台風4号による那覇市の暴風被害の状況と平成16年8月の台風16号による高松市の高潮被害の状況の説明を聞き、愛知県における高潮は、伊勢湾や三河湾が遠浅で湾奥が狭まる形状になっていることなどから発生が高まる傾向にあり、甚大な被害をもたらすとの話に不安がよぎり身構えてしまう思いでした。
積乱雲が引き起こす急な大雨による川などの増水、洪水、土石流、土砂崩れなど、また、雷や竜巻が引き起こす自然災害は、各地で発生していることから、災害の素因を知ることの重要性を説いて頂き、ハザードマップにより地域の特性を知り、気象情報を防災・減災に活かすことが日頃から大切であり、関心を持ちデータや知識を危険予知に活かしていくということを教えていただきました。
2.「地震と津波について」
講 師 名古屋地方気象台 防災グループ東海地震防災官 中村 真也 氏

続いて、中村防災官から「地震と津波」について、資料に添ってパワーポイントと併せ詳細に説明を頂きました。
まず、初めにプレートと世界の地震の分布、日本付近のプレートと地震のタイプからマグニチュードと震度の違いを教えて頂き、さらには、津波と風浪との違いなど津波に関する発生のメカニズムと海岸付近の地形による津波の変化を教えていただきました。
また、主な地震・津波災害につきましては、中部地方の活断層帯と海溝型地震の基本的な説明から入り、平成28年4月の熊本地震、平成23年3月の東北地方太平洋沖地震、さらに、明治24年10月に発生した濃尾地震、昭和20年の三河地震を具体的に挙げて頂き、それぞれの地震にかかわる「震度」・「概要」・「特徴」等について詳細に説明されました。そのあと、地震調査委員会の長期評価に基づいた「発生が懸念される地震」の今後30年以内に震度6弱以上に揺れる確率分布の日本地図を示され、南海トラフ巨大地震へと説明をつなげていきました。
この地震の被害想定は、人的被害のほか全壊・焼失棟数・津波の浸水分布・地盤沈下・液状化現象などの図表が示されました。
今回の研修を機会に気象庁から発せられる地震・津波監視体制と警報等のしくみを知ることにより、その情報を活かし、地震や津波から身を守る防災・減災の基本を学ぶことができました。
文責・写真 阿部健二