千葉県支部 海匝地域振興事務所での講演・実技指導
海匝地域振興事務所での講演・実技指導
報告者 川崎 隆克

下記の内容で講演・実技指導を行いました。
千葉県海匝地域振興事務所からの要請によるものです。
当該、事務所は県の出先機関で銚子市・旭市・匝瑳市の三市を統括し、印紙の販売から納税業務、防災・防犯など多岐にわたり、県と同様な住民サービスを行う機関です。従って、全て県職員となります。今回の参加者の中には高等技術専門学校副校長、危機管理室長、企画政策課主幹など錚々たる方々の参加を得まして、寧ろ、防災士より日頃から市民に接している立場の方が多く、多少、心地よい緊張も有りましたが、渡辺防災士と手分けして、無事終了する事が出来ました。私たち防災士は市民防災活動と理解して活動してきましたが、防災士の認知度が高まるにつれ、今後も各市町村の行政マンから要請も来るのではないかと想像します。各市町村の要請に応えるべく、防災士に様々なスキルアップが要求されます。
主 催 : 千葉県海匝地域振興事務所
講演日時 : 平成26年1月29日(水)13:30~15:30
協力 : NPO法人千葉県防災士会
一部講演 : テーマ「効果的な防災訓練の実地方法」30分 担当―川崎 隆克
「効果的な地域住民の防災意識の啓発方法」30分 担当―渡辺一弘
二部実技―1時間
応急担架の作成(毛布、作業着、ロープ、Tシャツ、椅子など)
応急手当法(三角巾、パンスト、レジ袋、傘、ネクタイ―打撲、止血、骨折)
徒手搬送法(一人搬送―前屈搬送、引きずり搬送、背負い搬送、キスリング搬送)
(二人搬送―組み手搬送、前屈搬送、両手搬送など)
災害に役立つ結策(本結び、まき結び、もやい結び、一重つぎ、など)
ご準備頂く物―パワーポイント、パイプ椅子
―はじめに―
災害対策基本法に基づいて、災害時における住民への避難の勧告、指示を行うのは自治体の長と定められています。災害現場の最前線で直接住民に接し対応して行くのは各自治体の役目となっている。
しかし、災害時は情報が錯綜したり、必要な物資、資機材、情報が必要な所に届かなかったりといった混乱により、自治体の活動は住民の適正な行動の助となっていないケースあります。
適正・迅速な意思決定と行動を起こしていくことができるように不断の訓練を行っていくことこそ災害時の程度、避難行動や救助活動の実効性を高める事、所謂、減災につながる。
防災訓練の意義
(1)災害の混乱時にも適確な意思決定が出来るようにする事
(2)災害時における不慣れな行動を迅速・円滑に出来るようにする事
(3)現在の防災計画・災害対策の不備を見直す事
災害は頻繁に起こるものではない。従って災害時の意志決定とその行動は実際の経験によって培う事は出来ない、災害時の状況を平時に演出、思考、シュミレートして置くことこそが訓練の第一義的な意義です。
防災の危機管理マネージメントサイクル(PDCA)とは、計画・対策を立てる(Plan)ことから始まって、定期的に訓練(Do)行い、時には視点を変えた訓練(Check)も行い、見直し(Action)を行い、このDoとCheckを行う事により、現在の計画・対策における問題点が発見され、新たな計画・対策(Plan)再び行われる。

効果的な防災訓練の実施方法
1、防災訓練の目的
地域防災計画の被害想定を精査し整合性のある訓練企画が必要、災害が発生した場合、適切な行動ができるよう、各年齢層の住民や企業、防災関係機関、などとの連携を充分図りながら、実践的な訓練を行う。
2、訓練の成果をあげるために
(1)計画的な訓練の実施―目的や内容を明らかに、実施計画作成
(2)関連機関との調整―市町村の防災機関に内容の検討、調整及び協力要請
訓練計画の届け出、災害補償制度の適用
(3)訓練の実施を周知徹底し、日時や訓練内容に変化をつける
訓練の実施を周知徹底 ○訓練日時、内容を記載した回覧板やポスター・チラシ、
広報を利用して、訓練の実施を「知らなかった」人が
いないよう徹底させましょう
訓練日時に変化を付ける ○いつも同じ日時に実施していると、同じ人しか参加で
きない為休日や夕方・夜間など多くの人が参加できる
日時に設定してみましょう
訓練内容に変化を付ける ○毎回同じような訓練の内容では、参加している人も慣
れてしまい、結果的に参加者が減少する事になります。
訓練の内容に変化を付けましょう。
○初期消火訓練や避難誘導訓練、救出・救助訓練のほか、
炊き出し訓練、地域の学校、保育園や老人ホームなど
との合同訓練、地域の実態に応じた訓練内容を考えま
しょう。
地域防災計画の被害想定も考慮しましょう。
○防災運動会や防災クイズ、シェイクアウト訓練なども
取り入れ楽しみ、競い合いながら知識や技術を習得す
る講演も必要です。
(4)興味を持って参加、楽しめる訓練―イベントを取り入れ、多くの住民が参加したいと
思う様な工夫が必要です。外国人や身体の不自由な方なども参加して、要援護者の
支援方法も取り入れましょう。
3、各種訓練内容―いくつかを組み合わせて実施したり、地域の事業所に努める従業員
や福祉施設などの合同訓練、他地域の自主防災組織との合同訓練など様々なバリ
エーションか考えられますが、地域の特性に応じた防災訓練を立案、実施しま
しょう。
4、
防災訓練の種類
初期消火訓練
救出・救護訓練
情報収集・伝達訓練
避難誘導訓練
給食・給水訓練
避難所運営訓練(HUG)
災害図上訓練(DIG)
身体防御訓練(シェイクアウト)
出火防止訓練
通報連絡訓練
倒壊家屋検索訓練
防災講話・研修会
*地域の防災力を高める為に自主防災組織が中心となり事業所、コンビニ、
養護施設、保育園など地域全体で取り組みましょう。
5、地域の特性に応じた訓練の実施
災害の種類は、地震、津波、暴風雨、洪水、高潮、土石流、地滑り、がけ崩れ、
液状化、火山、戦争、テロ災害、通り魔、木密地区延焼火災など様々な災害が
あります。居住地域の特性を考慮し必要と思われるものを反復的に行いましょう。
沿岸部の地域 ○津波・高潮を想定した訓練、危険情報や避難勧告を早急に
伝達する為の訓練、短時間で高台に避難する為の訓練、
海水浴客や釣り客に対する避難誘導も加えた訓練など
急斜面に隣接した地域 ○土石流、地滑り、がけ崩れを想定した訓練、
危険情報や避難勧告を早急に伝達する為の訓練、短時
間で安全な場所に避難する訓練など
木造密集市街地 ○延焼火災、家屋倒壊、避難路閉塞を想定した訓練、初期
消火訓練、避難誘導訓練、家屋倒壊からの救出・救護訓
練など
観光地 ○観光施設利用者の避難誘導を想定した訓練、危険情報や
避難勧告を早急に伝達する訓練、炊き出し訓練など
福祉施設などに隣接した地域 保育園、養護施設など福祉施設
との協働訓練、危険情報や避難勧告を早急な施設等に
伝達する為の訓練、高齢者、障害者など避難誘導訓練など
企業、事業所が混在する地域 住民と事業所の協働訓練、
昼夜間の発災を想定した避難誘導訓練、救出救助訓練など
*地域、企業、事業所との協働の取り組みが大切
訓練時に取った行動を全て記録し、対応の反省を行う事で、新たな対策が生まれる、更新して反復的に行う事が、効率的な訓練につながり,その事が実際の災害時に訓練通り活用出来れば、初動時のパニック防止や対応時間の短縮につながり、最終的に被害損失、減災につながっていくが期待できます。
